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〖学会発表〗卒業生


          日本エンドオブライフケア学会 学会抄録

  演題名:癌終末期における緩和ケアとしてのアロマセラピー
       -事例を通してー
  演者:桑塚惠子1)
  所属:1)医療法人聖恵会 福岡聖恵病院 聖恵ビハーラ(緩和ケア病棟)

   要旨
  【はじめに】
 癌終末期においてベッド上生活を余儀なくされているなか、
 アロマセラピーを受けることにより、患者自身が安らぎの時間を得ることができ、
 残された余命を心豊かに過ごすことができた。今回、このような事例を経験したので
 ここに報告する。
  
  【事例】
 子宮頸がんⅢB 左外腸骨・臼蓋転移の診断を受けた50代の女性。
 治療効果は得られず、両側水腎症・腸閉塞・左下肢リンパ管浮腫が出現していた。
 在宅療養が困難となり、当緩和ケア病棟へ入院となった。入院後、癌性疼痛・倦怠感に
 対して麻薬を含めた薬物療法を行いつつ各スタッフは全人的ケアを行い、私は、
 癒しとリラックス効果、皮膚ケアを目的にアロマセラピーを両下肢に41回実施した。
 目標にしていた本人の誕生日と夫とのドライブを実現させることができた。
 緩和ケア病棟入院約3か月後、家族にみまもられながら永眠された。

  【考察】
 患者は、リンパ管浮腫により通常の4倍ほどに大きくなった左下肢の重みと
 癌性疼痛、そして全身の倦怠感に苦しんでいた。私は、癒しとリラックス効果、
 皮膚ケアを目的に患者の好みの香りを確認しながら、レモン・ローズマリー・
 ジュニパーを2%濃度にブレンドし、アロマセラピー(施術手技:エフルラージュ)
 を実施した。
 アロマセラピー実施3回目には、「アロマは私をとても気持ちのいい森に連れて
 いってくれる」「私は、この時間がとっても好き、大事な時間よ」という言動が得られ、
 施術をうけている間の表情は微笑んでいるようであった。
 また、このような会話は他スタッフとも頻回に交わされ、その会話の時間も本患者の
 楽しみになっていた。アロマセラピーは、感情的、精神的なレベルでの
 コミュニケーションを可能にし、患者に癒しとリラックス効果を与えるといわれている。
 癌終末期の様々な苦しい症状のあるなか、このような安らぎの時間がもてたことは、
 アロマセラピーをうけることにより、本患者の生活の質をあげ心豊かに終末期を
 過ごせた要因と考える。

  【倫理的配慮】
 本報告は、研究目的ではなく、臨床上得られた経験を報告するもので、
 十分に匿名化して個人が特定されないよう配慮した。
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プロフィール

gcaaroma

Author:gcaaroma
福岡県出身。
英国伯爵イネス家へ嫁ぎ、英国ギルフォード在住。
自ら幼少の頃より病弱で“人並みに生きたい!”と強い願望の中、
英国の友人(医師)からもらった一冊の本(医学アロマセラピー)をきっかけに自己免疫強化の重要性を知り英国カレッジにてアロマセラピストを目指す現在は英国を拠点に日本へ最新の情報を提供し、香港でも開講する。

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